地域包括ケアをつなぐ本人主体のICTシステムとしての役割期待

超高齢社会の日本では、社会を支えるために、ますます自助・互助・共助の地域共生社会づくりや、地域包括ケアが推進されています。そして、高齢になっても住み慣れた地域で暮らし続けるために、健康の脆弱化の予防と変調の早期発見・早期ケアの重要性はますます高まります。
人は加齢により徐々に心身の機能が低下しますが、環境や体調の変化をきっかけに、日常生活活動や自立度が低下し、やがて要介護状態になることは少なくありません。身体機能や筋力、認知機能、そして社会性を含む生活に必要な心身の活力を維持することは、健康寿命の延伸に欠かすことができません。特に認知機能を保つことは、本人の意思を反映した社会参加や日常生活を継続するための大きな要素とされています。

今後、日本各地において、地域住民と医療・介護の専門職とが、本人および家族とともに「本人」を主体としたケアが可能な、その地域に適した地域包括ケアを実践していくことが予見されています。それを支えるために、ICTを活用した遠隔診療や電子カルテ、各種の介護ロボットや見守りのシステムなども開発され、普及しつつあります。そのような中で、認知症の人の支援に備えるICTを活用したシステムは、家族や医療・介護の専門職によるケアを支えることを目的に、さまざまなものが開発されています。

一方、脳活バランサーCogEvoは、開発されている多くのツールが提供側の視点である一方で、「本人」が楽しみトレーニングをするとともに、確認し、気づくための「本人主体」のシステムであることが最大の特徴です。そして、その「本人」の取り組みから、機能低下の予防やケアを医療・介護の多職種や家族や地域、そして本人自身もが連携して支えることで、「本人主体の地域包括ケア」が実現することになります。

つまり、認知機能を、日常の中で自らが主体的に継続的に訓練し、把握し、気づき、ケアにつなげる仕組みづくりは、プレクリニカル期やフレイル状態における認知機能の変化をの側面を早期に発見状態を確認するシステム構築につながります。

地域包括ケア・地域共生社会における早期予防の必要性

認知機能の低下だけでなく、身体・心・活動を維持する取り組みが必要です。
フレイル(加齢に伴う筋力・認知機能・社会参加が低下した虚弱状態)予防の必要性
⇒フレイルチェックの取り組み
⇒軽度認知障害(MCI)はメンタルフレイルの状態
⇒認知機能低下を早期に発見することは、フレイル対策にもつながる。
認知機能とフレイルに関する詳しい説明はこちらから「認知機能と社会生活【フレイル】

脳活バランサーCogEvoが、私たちの生活や社会参加に必要なケアや支援を考え、安心安全にそれぞれが望む生活を継続できるための一助となれるよう、研究開発に取り組んでいきます。

今後の課題

脳活バランサーCogEvoは認知機能の5種の側面について、トレーニングをしながら、その変化を把握できることカットオフ値をもつ既存の神経心理学検査とは異なり、認知症発症以前から本人自身が認知機能を確認し、追跡し、経過する時間の中で軽度認知障害(MCI)や認知機能の状態の異変に気づき、その後の変化を見ながら適切なケアに適切なタイミングでつなぐために活用できるツールです。

今後の課題としては、より精度の高い基準値の設定や、認知症につながる可能性をより的確に示唆できるような仕組みづくりが挙げれており、このために、多くの人について中長期にわたる追跡調査により検証することが必要になります。

ICT活用により一人でも容易に取り組めるツールであることを訴求していくことは勿論のこと、必要な時には認知症やその予防について相談支援ができる窓口の整備や地域との連携体制の構築、そして日ごろから認知機能を確認することの重要性を啓発するなど、社会への働きかけも求められています。

参考文献

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